●“DO IT”(1995-'98年制作)
 
 ウィーンで制作され、Museum in Progress* によるプロジェクトで、オーストリア国営テレビ局で放送された作品群。
 このプログラムは17人から構成されており、作家メンバーはヴィジュアル・アーティストのみならず、ロック・ミュージシャン、映像作家、キュレーター、等のさまざまなジャンルの人物が含まれている。有名/無名、長老/若手に関係なく、インターナショナルな活動で知られる作家たちが独自のアイデアを映像表現として創り上げている。Museum in Progressは、これまでに広告看板、新聞ページ、駅のコンコース、工事現場のフェンスなどの一般大衆が目にするさまざまな場所やメディアを活用し、美術館以外の場でアートを紹介することに努めてきた。“DO IT”は広範囲の視聴者を対象にしたアート作品として、テレビ用のアートプログラムのためにオリジナルに制作されたものである。参加したクリエーターたちは、オブリストによって定められた条件を満たし、放映作品としてのフォーマットに沿って、自分のアイデアを3分以内の番組として制作した。それらは、テレビというメディアを意識したメッセージ性の高い表現による映像作品である。

         

*Museum in Plogress:
 公的資金によるインディペンデントのオーガニゼーションとして、アート・スペースは持たずに数多くのユニークな活動を行っている。ウィーンのセセッション(現代美術館)の裏にある、3面の回転式ビルボードでは、常にアーティストによる作品が展示されている。 



●“Arkipelag TV”(1998年制作)

 ストックホルムでは、昨年「ヨーロッパ文明都市」に指定されていたこともあり、Arkipelag* というヨーロッパで最大のアートフェスティバルが、ストックホルム市内の7つの代表的な美術館、博物館で開催された。 
 この展覧会では、大きなテーマを一本の柱にして開催するのを避け、コンテンポラリーアートの幅広い多様性の追求と、ヴィジュアルアートの新たな可能性を目指して行われた。そうした現代的な状況を考慮して、特定の場所を持たずメディア上で行われた展覧会であり、スウェーデン国営放送で月代わりに各作家の作品が放映され、それぞれの作品は毎日、ランダムに放送された。このプログラムはすべてが30秒以内であるため、よりCMスポットのように思える作品である。13人の作家のラインナップは、現在注目される国際アーティストであり、それぞれが、オリジナルサウンドやサイレンスであったり、スティルやカットバックなど自由な手法で映像表現を試みている。


*Arkipelag:
 多海島を意味する言葉で、ストックホルム近海に25,000個も浮かぶ島々を指している。 

                      
           
                          解説執筆 : 嘉藤笑子

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