【会場サウンド“ cell ”について】


アーティスト : kelly davis (ケリー・デーヴィス)


若手アーティストたちが自主的に運営するアトリエ「スタジオ食堂」(今年3月解散)の元メンバー。
96年以降、東京を拠点にアーティストとして活動中。東京を訪れるサウンド/マルチメディアアーティストの活動をサポートし、
実験的なサウンド作品を発表する自主レーベル・Tokyo Audio Arts を設立。


“ cell ”(1999制作・CD作品)


私がここで取り扱っている概念は、心理的触知や不在の現象といったものに敏感になる手段として考えている「センス・シフティング(感覚移行)」と呼んでいるものです。
この作品では、微視性と不可視性に対する関心が、アンテナの機能として再配線された「電気カーペットの利用」へと結びつきました。
この特殊な電気カーペットの「アンテナ」によってピックアップされる音は、 高速道路を走る車から発せられる無線やカーステレオ等の電磁波なのです。
(この時アンテナは、直接視界には入らないものの高速道路の近くに設置しました。)約2ヶ月の間、この仮設のアンテナによって受信し、レコーディングされた音を、詳細に調べ直し、編集、サンプリング、再構築を行って1つの構成に当てはめる作業を行いました。その構成とは、細胞分裂の4つの段階に基づいた構成であり、ここでは細胞分裂の4段階の構成要素全てを、4つのサウンドスケープに対応するように改良してあります。この時、可聴域の微細構造から細胞分裂の過程をチャート化(図表化)する手段としてバイナリーコード(2進法)を用いています。

★作品を聞くにあたって★
部屋を完全に暗くし、半睡眠状態あるいは半覚醒状態のような「ぼんやり」した意識の中で聞くことをお薦めます。

(CDは会場にて販売有り:1,500円)

※ ケリー・デービスは、2000年夏にメキシコで開催される「Arte Sonoro Festival」(サウンドアートフェスティバル)に参加する。
  そこでは、この“cell”を用いて、オーディエンスが真っ暗な部屋に横たわってこの音を聞くというイベントが行われる予定である。