オスカールが住む、北千住の住宅街にあった廃屋がモティーフになっている。
バブル景気の崩壊後、このように放置された場所を数多く目にするが、この家にはかつて
老婦人が一人で生活していたという。住人が去り、家はその記憶を宿しつつ、やがて
静かに朽ちてゆく。家の外の青空には、死んだ家の「魂」が白い雲と化して漂っている。
昨年亡くなったオスカールの祖母への追悼も込めて制作されたこの作品の中の白い雲は、
葬儀の花、すなわち大きな菊の花の形をしている。
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