なにか大きな自然災害か、あるいは戦争で、跡形もなく破壊された街。
 褐色の画面は壊れた建物の残骸で覆われ、一種「黙示録的」な光景が展開している。
 廃墟の直中に、それぞれ一揃いの日用品が無傷のままに描かれているなど非日常的
 な破壊の光景と日常的な生活感のコントラストが、なんともトボケた味わいだ。
 蟻の巣をイメージしながら描いたというこの作品は、「これでとりあえず、一所帯
 になっている」のだという。究極の安全な家を求めると、結局はモダンな住宅ではなく
 て、地下にでも住むしかないという現代生活のアイロニー。

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