複雑な有機的フォルムが、正方形の画面全体を不気味に這い回っている。
ところどころ病根を連想させる斑点が浮かび、見る者になにか画面が内
側から蝕まれているといった印象を与える。作品を斜めに横切る大きな
河川の流れを思わせる白いフォルムを背景に、画面の中央に浮き上が
る汚染物質のような暗い影は、とりわけ強くまがまがしい雰囲気を醸し
出す。純粋に抽象的なイメージでありながら、飛行機の窓から見下ろし
た地上の光景にも受け取れる。こうした「抽象」でも「具象」でもある
ようなイメージの曖昧さは、オスカールが意図的に狙ったものだ。
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