1992年に結成され、今年で10周年を迎えるライカ同盟。構成員は作家で美術家の赤瀬川原平氏、同じく美術家の秋山祐徳太子氏、写真家の高梨豊氏という、それぞれ1960年代から美術や写真の世界で活発な活動を繰り広げてきた個性豊かな3名のアーティスト。彼らが銀座のとあるギャラリーのオープニングで顔を合わせた際、持参していたライカ(歴史と伝統を誇るドイツ製高級カメラ)の話題で大いに盛り上がり、それがきっかけで誕生した私的な写真グループです。プロ写真家のなかでもとりわけライカ使いの名手として知られる高梨氏を頼霞(ライカ)流家元に押しいただき、1994年に「お稽古」と称して横須賀を撮影、同盟結成のきっかけになった銀座の画廊で発表会を開くところからその活動が始まりました。それ以降、折にふれ3名で様々な場所に出かけては撮影を行い、その成果を発表。近年ではパリにまで遠征を試み「パリ開放」(解放でなくレンズの絞りの開放にひっかけた洒落)も成し遂げています。
このたびの展覧会「東京涸井戸鏡(カレイドスコープ)」では、現在『カメラジャーナル』(アルファベータ社)に連載中の「ライカ同盟通信」で発表された作品を中心に、東京をモチーフとした写真を多数展示いたします。赤瀬川、秋山、高梨3同盟員にとって、それぞれの活動のベースでもある東京。その東京を久しぶりに広範に歩き直し撮影された今回の写真を通じて、ライカ同盟のユニークかつユーモア溢れるまなざしの魅力を、十分にご堪能いただけることでしょう。
展覧会はまず9月に、ライカ同盟展のレギュラー会場である中京大学C・スクエア(名古屋展)で開催された後、11月にいよいよ本シリーズのスタート地点である向島・現代美術製作所(東京展)へと巡回いたします。なお展覧会では写真の他に、ライカ同盟員による自画像や、同盟員の活動の様子を収めたビデオドキュメントなども展示いたします。また、現代美術製作所のオープニングに際しては、自らライカウィルスの感染者(ライカの魅力にハマッている人のこと。ライカウィルスの発見者は赤瀬川氏)であるとカミングアウトしている明治学院大学教授・山下裕二氏と、ライカ同盟3氏によるトークショーも開催いたします。
皆様にはなにかとお忙しい時期とは存じますが、ぜひこの機会にライカ同盟展「東京涸井戸鏡(カレイドスコープ)」をご高覧いただければ幸いです。もしかすると展覧会を見終わった後、ついつい街歩きがしたくなるかもしれません。そんな時には、もちろん向島散歩がお勧めです。
ディレクター:曽我高明
<その他お知らせ>
★11月は、現代美術製作所の周辺地域である向島・京島地域にて、以下のさまざまなイベントや展覧会が行われます。
(ライカ同盟展会場にて、リンクMAPを設置予定です。)
●「縁の叙景」展 大西みつぐ(写真家) YCPP実行委員会(京島) 11/3-30
●「秋のバザーとフリーマーケット」 墨田聖書教会(墨田3丁目) 11/4
●「アーティストイン空き家」 慶応大学三宅研究室(京島文化祭) 11/9,10
「京島編集室」(京島) 11月末まで
●「京島かえっこバザール」 京島かえっこバザール実行委員会
(京島文化祭) 11/9,10
● 「向島by and Bicycle, 1st」 KOSUGE-16(向島・フルハウス) 11/9,10
●「ツママレ 2002」 FACTOR MIYA 11/16-24
(6カ所の個人邸および空き家で行う連合型グループ展)
●「Yahiro"Suki"Photography」 (八広) 11/16,17,22,23,24,30,および12/1
●ヤヒロハウスプロジェクト 「洗濯物」(八広) 11/22-12/1
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